SDGsの取り組み

SDGs(持続可能な開発目標) 今、未来のために

産経新聞社は令和2(2020)年10月、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、国連が世界の主要な報道機関などに参画を呼び掛けている「SDGメディア・コンパクト」に署名しました。引き続き持続可能な社会の実現に向けた多様な活動や意義を発信するとともに、さまざまな事業を通じて自ら実践していきます。その取り組みの一部をご紹介します。

心臓病の子供を救う「あけみちゃん基金」

【URL】https://akemi-f.com/

「あけみちゃん基金」は、先天性の心臓病などに苦しみながら、経済的な事情などで手術を受けることができない子供たちを救うため、1966年に産経新聞社が提唱して設立された基金です。活動資金はすべて、読者を中心とする一般の人たちからの善意でまかなわれ、50年以上にわたり、500人を超える幼い命を救ってきました。2017年には、基金の運営をフジサンケイグループの一員として社会貢献事業を展開している社会福祉法人「産経新聞厚生文化事業団」(本部・大阪市浪速区)に移管し、子供たちの笑顔を守る活動を続けています。

あけみちゃん基金が適用され、13歳でカテーテル治療を受けたミャンマーの少年(左)。心臓病から劇的に回復した=2020年2月14日、同国のヤンゴン(萩原悠久人撮影)

1966年6月7日、サンケイ新聞(現・産経新聞)社会面に、闘病生活を送る幼い少女の記事が載りました。少女は鹿児島県に住む、あけみちゃん(当時5歳)。心臓の心室の壁に穴があいている心室中隔欠損症などを患い、「手術をしなければ、あと2、3年の命」と宣告されたものの、小さな畑で8人家族を養う両親に50万円の手術費は賄えませんでした。「貧しいために、最愛の娘を見殺しにしなければならないのか…」。見かねたあけみちゃんの叔父夫婦が、両親の嘆きを産経新聞に投書、記事でそれを紹介したのです。

すると、読者から「あけみちゃんを救って」という声が多数上がり、産経新聞社には手術費をはるかに上回る善意が寄せられました。これをきっかけに「あけみちゃん基金」が誕生、あけみちゃんは適用第1号として無事手術を受けることができました。以降、基金は経済的に恵まれない心臓病の子供たちへの支援を次々と実施。その後は、海外の子供にも支援の輪を広げてきました。近年は、国内で心臓移植を受けた子供たちを対象に、提供された臓器の搬送費や、医療費以外の諸費用などの援助も行っています。


不用衣類の再利用でパラスポーツ応援「ふくのわプロジェクト」

【URL】https://www.fukunowa.com/

まだ着られる不用衣類を家庭などから寄付してもらい、障害者スポーツを応援する「ふくのわプロジェクト」。平成28(2016)年のスタートから8年目を迎えた令和5(2023)年4月末現在で累計828トンの衣類を回収、約1271万円がパラ水泳連盟・パラパワーリフティング連盟など5つの障害者スポーツ団体に寄付されました。

集まった衣類は、1キロ当たり7円(提携倉庫に直接送付の場合は10円)で専門業者に買い取られ、その収益金が障害者スポーツ団体に寄付される仕組みです。衣類はマレーシアに運ばれて現地で選別され、世界15カ国で再販売されます。素材やデザインが多様な衣類は、古紙やペットボトルなどに比べてリサイクル(再資源化)率が高くありません。環境省の「ファッションと環境調査」によると、日本では年間約48万トン、大型トラックで換算すると毎日130台分もの衣類がごみとして焼却・埋め立て処分されています。ふくのわプロジェクトでは、衣類のリユース(再利用)を促進して、二酸化炭素(CO2)の排出抑制に貢献しています。

回収活動は首都圏を中心に自治体や企業、商業施設、学校などにも広がっています。令和2(2020)年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、一時ストップ。こうした状況に対応し、新たに自宅などから直接提携倉庫に送れる宅配回収キット「おうちでふくのわ」の試行販売を始まりました。キットの制作や梱包作業では障害者団体や福祉事業所と連携しています。また、パラアスリートと児童・生徒が一緒に競技を体験する場の創出や、環境や共生社会について学ぶ出張授業にも力を入れています。これまでのべ410校がふくのわプロジェクトに参加しています。

日本から送られた中古衣類を仕分けするマレーシアのスタッフ


産業との共生図る事業を顕彰「地球環境大賞」

【URL】https://www.sankei-award.jp/eco/

フジサンケイグループが主催する地球環境大賞は、「産業の発展と地球環境との共生」を目指し、地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する技術・新製品の開発などを進めた企業・団体・学校・市民グループなどを顕彰しています。公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、名誉総裁・秋篠宮皇嗣殿下)の特別協力を得て、平成4(1992)年に創設。これまでに300を超える企業・団体が受賞しています。地球温暖化の防止、循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・事業の促進、21 世紀の社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としております。国際連合が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の理念とも一致した取り組みです。

地球環境大賞を受賞し、フジサンケイグループの日枝久代表(右)から表彰状を受け取る受賞者

高校生がお菓子作りのアイデアと技術を競う「スイーツ甲子園」

【URL】https://sweets-koushien.com/

「スイーツ甲子園 高校生パティシエNo.1決定戦」は高校生パティシエの頂点を決める大会です。第1回開催となる平成20(2008)年からお菓子作りが大好きな高校生の「夢」を応援し続け、第13回から産経新聞社が主催することで、更なる事業規模・知名度拡大を図ってきました。産経新聞社では本大会を通じて、SDGsの目標4番「質の高い教育をみんなに」および12番「つくる責任 つかう責任」へ貢献します。高校生たちがさまざまな食材と触れ、チーム一丸となって試行錯誤しながら一つの作品を完成させるという過程のなかで、質の高い学びを得ることを目指します。また「食材の有効活用」や「ごみ削減に対する姿勢」を審査要素に加えることで、スイーツ業界における課題解決策を高校生たちと共に考えます。

令和4(2022)年に開催された第15回大会の表彰式

さらに令和5(2023)年からは、姉妹大会として「ふくしまチャレンジカップ」をスタートさせました。お菓子作りが大好きな高校生たちに福島県各地の特産品を使ったスイーツを考案してもらい、そのおいしさや魅力を伝えることで、東日本大震災と原子力災害からの復興に取り組む福島県を応援します。

ふくしまチャレンジカップ
【URL】https://sweets-challengecup.com/


思考力高め社会の担い手を「NIE(教育に新聞を)で出前授業」

社会の担い手をつくる教育に関するこの分野は「全てのSDGsの基礎」とも呼ばれています。産経新聞では、記者による出前授業といったNIE(教育に新聞を)の取り組みを通じ、活字文化の発展や、子供たちの読み書き能力向上に資する「質の高い教育」の実現を図っています。出前授業では新聞の紙面も活用し、思考力や表現力など、情報化社会を生きる子供たちに必要な実践的能力を高めてもらう手助けをしています。環境新聞の作成など、SDGsの他項目と関連する内容でも実施。東京都立大崎高校(品川区)での令和2(2020)年1月の出前授業では、食べられるのに捨てられる食品ロスが国内で年間600万トン以上に及ぶデータなどを示し、記者がリサイクルの現状を解説しました。また、ウェブサイト「産経ニュース」では、旬の話題を子供向けに解説する「週刊学ぼう産経新聞」(毎月第1~4週の日曜付)のワークシートなどを公開し、誰でも無料で活用できるようにしています。



SDGs(エスディージーズ)とは

「Sustainable Development Goals」の略称で「持続可能な開発目標」と訳される。貧困、気候変動、海洋汚染といった地球規模の課題解決のための17のゴール(目標)を2030年までに達成し、将来にわたってよりよい世界を目指そうとする国際目標で、2015年に国連で採択された。地球上の「誰一人取り残さない」ことを宣言しており、ゴールの下にはより具体的な169のターゲット(達成基準)が設けられている。日本政府は2016年、首相を本部長とするSDGs推進本部を設置。2019年策定の「SDGsアクションプラン2020」には、海洋プラスチックごみ対策、女性や若者、障害者の活躍などが盛り込まれた。


SDGメディア・コンパクトとは
 
SDGsに関する報道を充実させ、その達成に向けた行動を活性化させることを目的に、世界中の報道機関とエンターテインメント企業が参画。国連によると世界で100以上の媒体が署名しており、160カ国をカバーし、20億人以上にSDGsに関連する記事や番組を届けている。日本でもテレビ、ラジオ、新聞、出版、ウェブメディアなど約30社が署名している。